くだらないプライドなんて捨ててしまえ

見栄とプライドだけで入社した大企業を速攻で辞めた筆者が、関西からベンチャーについてのあれこれを綴ります。

【書評】幸せになりたければ"クソ・サラリーマン"になってはいけない

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

新年一発目の記事は、ブックレビュー二冊です。帰省中で時間があるので、去年読もうと思っていた本をまとめて読んでいます。

 

【1】有名企業からの脱出 あなたの仕事人生が〝手遅れ〟になる前に

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 満足度:★★★★☆

 

一冊目は、IGPIのCEO・冨山和彦氏の最新刊です。

かつて世界を席巻していた日本の大企業が、グローバル競争下で国際競争力が上がらずに苦戦する現状や、 ありえない不祥事を起こしてしまう原因を、生々しい企業再生の現場で見てきた光景をもとに描く刺激的な内容になっています。

また、大企業がそれほどまでに凋落した要因として、いまの社会の状況にそぐわない組織のあり方や、社員の考え方・働き方という観点でも舌鋒鋭く切り込んでいます。途中から、怒り狂ったように"クソ・サラリーマン"という単語を連発するくらいに、煽りに煽ってきます。

たしかに、ノスタルジックにまだ「ものづくり大国・ニッポン」とか「一億総中流」みたいな価値観に浸っている人にとっては刺激的というか、悲観的な内容極まりないのですが、以前から日本の産業構造や組織・キャリア観に危機感を抱いていた人からすれば、「まぁそうだよね」という内容に落ち着いています。

強いて言えば、冨山氏の実体験に基づいた日本の危機的状況を表す具体的なエピソードを知ることができたこと、一切言葉を選ばずに危機意識を代弁してくれていることの二点においては、我々当事者意識のある者にとって価値ある一冊となっていると思います。

ちなみに18卒の学生の皆さんは、Goodfindの下記セミナーでも似たような内容を聞けるのでぜひ参加してみてください。

↓↓↓

Goodfind業界研究セミナー 今後伸びるマーケット・優良企業を見分けるポイントと、若くして成長するキャリアの選び方とは? Goodfind キャリアセミナー | 2018

※日程は順次追加予定です 

個人的に本書でマイナスだなと思うのは、以下の二点です。

一点目は、タイトルがあまりにも俗っぽいこと。「ハイハイ、どうせまた大企業ディスりでしょ」という先入観を与えかねないのがもったいないです。しかも、内容の本質は大企業ディスりではなく、どんな企業にいても必要な新時代を生き抜くための方法論・幸福論なので、そもそもタイトルとしてふさわしくないし、ミスリーディングにつながります。

もう一点は、根拠となるデータ(ファクト)が薄いこと。こうした大企業批判を他人事だと考えている人を納得させるにはややファクトが弱い印象を受けました。良くも悪くも、全力のポジショントークでねじ伏せにくる感じですw

読み手のスタンスによって賛否が明確に分かれそうな一冊ですが、産業再生機構時代のエピソードなどは勉強になるので、ぜひ読んでみてください。

 

【2】生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

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満足度:★☆☆☆☆ 

 

二冊目は、最近何かと話題の生産性にまつわるこちらの本です。

2016年の後半にかけて社会的に大きな関心を集めた長時間労働問題ですが、そこでの中心的議論は「時間短縮」や「残業禁止」といった労働の「量」に関することがメインでした。それに対して著者は、「量」の削減ではなく「質」の向上にこそ着目すべきであるということを主張しています。

結論から言うと、取り立てて新しい情報は無く、生産性ってなに?というレベルの入門書的位置付けなので社会人にはあまり読む価値が無いと思いました(17卒、18卒の学生さんは読んでみてもいいかも)。

生産性の向上には二つのアプローチがあり、一つは改善(コストカットや時短も含む)、もう一つはイノベーションに分けられます。そして、日本では改善ばかりが取り上げられて時間短縮が目的化していますが、ビジネスモデルを革新するなどして資源投下量(≒時間×人×資本)は変えずにより高いアウトプットを出せるようなイノベーティブなアプローチも考えるべし、という主張です。

一瞬なるほど、と思うのですが、実は本質的には言っていることは同じです。つまり、卵が先か鶏が先かの話と同じで、結局時間を短縮するためには既存のやり方を変える必要があるのであって、その過程で改善とイノベーションはどうしても必要になってくる、ただそれだけのことです。

思考停止した政府や財界がとりあえず「プレミアムフライデー」と言ってみたり、電通社員が「仕事量を変えずに22時消灯は無理ぽ」と文句を垂れていたりと、マスコミも「時間」にだけフォーカスを当てて報道しているのでおかしなことになっていますが、そもそも前提として一部の仕事を捨てるなり自分の能力を向上させるなりする必要があるのは当たり前のことで、本書では単にそれが明文化されているだけの話です。

めちゃくちゃ単純化しましたが、そんなようなことを、この時代のモデル企業として取り上げるにはやや疑問の残る(要するに古臭い)マッキンゼーを事例に語っています。著者が同社に入社したのはいまから約25年も前の1993年ですからね、いくら2011年まで在籍したとはいえモデルケースとしてはちょっと無理があるかと。

一応、内容は人事・組織論にまで踏み込んでいますが、ほぼ一般論に終始しておりだいぶ浅いです。また、章によって想定する読者が経営者になったりマネージャーになったり人事になったりして、書籍としてのまとまりが無いので誰が読んでもあまり刺さらない感じになっちゃってます。

前作の『採用基準』もそうですが、表紙のデザイン的には売れるタイプなだけに残念です(良いデザインかどうかは置いておいて、売れるデザインだと思います)。社会人には不要、簡単に生産性の概念を知っておきたいという学生さんは最初の三章だけ読めば十分だと思います。

 

以上です。